タイトル
情報概念の周辺

要旨

 情報技術が如何に進歩しようとも、人が情報を使う様式に変化はないことを確認し、情報の活用における情報技術が果たす役割を的確に認識することを狙いとする。道具が使われる場合、無意識で使えるようになった時に、人はその道具を自分の手足と同様に自由に使うことが可能になる。そのような道具を本稿では備品と呼ぶ。殆どの場合、人は備品を無意識で使うように、情報も潜在意識の中で使う。そのような状況を没入と呼ぶ。没入の世界では、人は何を為すべきか、それを如何に為すべきかを内感として知っており、意思決定や問題解決を明確に意識せず、それらを暗黙的ノウハウとして理解している。それゆえ、人は判断、決定等において情報を没入の世界で使う。道具に関するHeideggerの議論を手掛かりに、没入において備品としての情報が持つ意味、果たす機能を検討する。


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