タイトル
台湾松下電器の製品開発

要旨

 本論は、松下電器産業の台湾子会社・台湾松下電器(台松)における製品開発の事例をのべたものである。
 当初、生産機能だけの工場としてスタートした台松は、やがて販売機能をもつようになり、さらに、製品や生産設備を開発できるまでに発展した。製品開発の事例として本論でとりあげたのは、輸出用トースター、おかゆ炊き炊飯器、プラスチックボディーエヤコンの3つである。
 これら3つの開発のプロセスと開発の成果を、当時、開発に深くかかわった当事者(著者のひとりである堀正幸)が、経験にもとづいてくわしくあきらかにしている。製品名、開発にかかわった技術者、時期、場所などは実名でのべられている。
 台松で製品開発が行われるようになった理由には、現地市場のニーズへの対応、現地人技術者の創造性欲求を満足させる必要性、いつまでも日本親会社に開発を依存するわけにいかないこと、台松の将来の発展のためには技術力を蓄積しなければならないことなどがある。
 台松での製品開発は日本親会社と無関係に行われたのではない。開発にあたっては、日本親会社の研究開発からいろいろの支援をうけることができた。しかし、台松の開発にたいして、日本親会社の一部の事業部は否定的な反応を示したこともあった。


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