タイトル
競争優位追求戦略 −ホンダの米国二輪車市場制覇−

要旨

 海外市場での競争優位確立は国際市場戦略を展開する際の重要な課題である。本稿はこのような問題設定のもとに、海外市場での競争優位追求戦略をホンダの米国二輪車市場への参入と市場占有の戦略を通じて明らかにすることが目的である。事例分析には、ゲーム理論にもとづく競争戦略の考え方を用いて説明する。
 ホンダは市場占有率向上と販売量拡大が目的であった。将来需要が見込まれる有望な製品市場分野には、長期的視点より短期利益を度外視して積極的投資を行うことが、基本戦略であった。米国二輪車市場への戦略については、一貫して戦略自己拘束であると特徴づけることができる。米国市場に適応した製品開発・広告費投入・流通網構築など他の市場への転用の難しい有形・無形資産の蓄積は自己を拘束することになるが、それにも関わらず高水準の投資を継続して展開した。それらの投資は、ホンダに対してその二輪車が独自製品として高く評価されるブランドイメージ構築や流通効率化などに結びつく直接効果を生み、さらに既存メーカーの受動的対応という戦略効果を生み出した。


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