タイトル
「起業」分析における質的研究の重要性



要旨

経営という事象の分析には様々な分析手法が用いられており、経営学という学問はその方法論上の特徴として極めて学際的であるということが指摘できる。本稿は、従来のイノベーション・マネジメント研究のレビューを通じて、事業の出発点である「起業」段階の分析における質的(定性的)研究の重要性を示したものである。新しい事業が既存の製品とは異なった質の顧客価値を生み出すような局面では、既存の事業に対する評価軸を当てはめることは不可能である。新事業創成過程の分析には、そこで起きる事象が持つ意味や質的な側面が重要となる。「起業工学」もその名が示すとおり、新事業の起業が分析対象であり、工学に軸足を置きながらも事象の「質」に重きを置くことが、経営工学との分水嶺になっている。





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     高知工科大学マネジメント学部
     冨澤 治