タイトル
取引関係固有投資と系列販売網の生成過程 −自動車製造業者の事例−

要旨

本稿の目的は、比較取引制度分析にもとづいて、自動車製造業者を事例対象に取り上げ、系列販売網の生成過程を明らかにし、その経済的根拠を説明し、歴史経路依存性を識別することである。トヨタの排他的系列販売網の発生には、戦時統制による自動車配給会社の設立が初期条件として歴史経路上の役割を果たした。トヨタおよび系列販売店が系列販売網に対して有形・無形および取引関係固有の投資を相互に行う歴史的経緯を経て、トヨタと系列販売店間には自己拘束関係が構築された。それを基礎に取引関係固有投資が継続して実施され系列販売網が維持・強化された。

キーワード:取引関係固有投資、流通系列化、取引慣行、比較取引制度分析



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