研究所概要

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所長からのご挨拶

経済経営研究所所長

神戸大学経済経営研究所の建物は兼松記念館(1934年竣工)として知られ、国の有形登録文化財にも指定されている重厚な近代洋風建築です。真夏でも、中に入ればひんやり感じます。長い歴史に耐えてきただけあり、その中には多くの歴史的資料や機器類が保存されています。所長就任第一日目の本日、最も驚いたのは、所長室の棚に大正時代の出版物が近年の図書と仲良く並んでいることでした。


当研究所は1919年(大正8年)に神戸高等商業学校・商業研究所として創設されました。国立大学の社会科学系附置研究所の中で最も長い歴史と伝統があります。その歴史と伝統が活かされた最近の例としては、本年3月11日、当研究所経営機械化展示室が「情報処理学会・分散コンピュータ博物館」に認定されたことがあげられます。認定理由は「国産初の鐘淵(かねがふち)実業製PCS(パンチカード・システム)用分類機など、戦中・戦後に導入された28点の歴史的機器が保存されている」というものです。今回の認定を機に、現在、当展示室を計算科学の教育・普及に活用するプロジェクトを進めています。


当研究所附属企業資料総合センターでは、鐘紡資料や兼松資料をはじめとする極めて貴重な歴史的企業資料等を多数管理・運営しています。例えば、鐘紡資料は、2002年に経営破綻したカネボウの1886年の創業から経営破綻までをカバーする膨大な内部資料で、様々な分野の研究者から注目されています。現在当センターでは、同資料をデジタル画像化して公開するプロジェクトを進めており、画像化された資料の一部を既に公開しています。


歴史的な資料や機器類もさることながら、高度な国際性も当研究所の大きな特色です。国際経済、国際金融、国際経営等のグローバル社会における経済・経営の諸問題の研究、および、英文による国際レベルの研究は特に重視されています。この傾向は決して近年始まった訳ではなく、1938年に南米文庫を開設し、英文雑誌「The Journal of the Kobe University of Commerce」を公刊して以来脈々と続く伝統です。特に、南米研究は今日まで引き継がれ、インド、アフリカを含む開発経済の研究に発展しています。英文雑誌の伝統は、2011年創刊の「The Japanese Accounting Review」に引き継がれ、会計学における国内唯一の査読付き英文雑誌として、さらなる発展が国内外で期待されています。


歴史ある当研究所ですが、過去10年間で教員の世代交代が急速に進みました。現時点では、高度な実績のある中堅以上の研究者が一群をなす一方、確かな業績と才能溢れる若手研究者達が台頭しつつあります。世代間と世代内で切磋琢磨しながら、多くの共同プロジェクトが進んでいます。


今回は、これまでの所長挨拶とは異なった角度から当研究所を紹介させていただきました。歴代所長の挨拶を始め、下記リンクをご覧いただければ、当研究所の活動をより一層ご理解いただけるかと存じます。


今後とも、当研究所へのご支援ご指導の程、よろしくお願い申し上げます。


2014年(平成26年)4月1日
神戸大学経済経営研究所長 上東貴志