グローバル経済研究部門 Global Economy Unit

グローバリゼーションの下でいかに効率的で公平な経済・社会を構築するかは、全ての国々に共通する最重要の課題です。この課題に関し、本研究部門では、とくに国際経済学、開発経済学、空間経済学、ゲーム理論などの分野から、グローバリゼーションの動態とそれがもたらす諸問題の理論的・実証的研究を推進します。同時に、日本や先進諸国のみならず、新興経済諸国や発展途上国に関する地域研究に立脚した研究を企図します。

研究分野 研究課題
国際経済 各国経済のマクロ的な関係をグローバルなシステムとして捉え、そのシステムの特徴と変動を理論的・実証的に明らかにすることを課題とします。各国間の貿易構造・投資構造とそれを規定する世界の貿易システム・投資システムについて、理論モデルを使った分析、計量モデルを使った分析を行います。その中心は国を単位とする国際的視点であるので国際的政策協調の問題も分析対象となります。日本とアジア諸国・アメリカ・EUの経済関係の研究を基礎に、21世紀のグローバルシステムも探求されます。
エマージングマーケット エマージングマーケットが台頭し、国際経済においてプレゼンスを高めつつありますが、本研究分野においては、とくにインドに焦点を当てた研究を実施します。インドは、1990年代より経済自由化を推進してきましたが、マクロ経済、産業構造、企業行動などにどのような影響を与え、社会的にどのような成果をもたらしているかを、理論的・実証的に究明します。さらに、日本企業の国際化やグローバル化のひとつの事例として、インド進出日系企業を取り上げ、日系企業がインドの経済発展に果たしてきた、さらには今後果たすであろう役割を分析します。
経済統合 東アジア地域における域内の生産統合がよりいっそう深化し、ASEANの後進地域や中国の内陸地域に展開している状況について情報を収集し、分析します。インドとブラジルの世界経済との統合について研究し、新興経済国として注目される両国が世界経済に与える影響を考察します。WTO交渉が遅れる一方で進展するEU、NAFTA、AFTA、メルコスール等々のリージョナリズムに関する理論的・実証的研究を行います。東アジアの地域経済統合が日本の地域経済に与える影響を分析します。経済統合の研究の対象には、国際商品貿易のみならずサービス貿易や直接投資や労働移動を含む国際生産要素移動、および研究開発等における知識の交流が含まれます。
経済開発戦略 この数十年の間に、多くの国は、グローバリゼーションの恩恵を受け、Third Worldの発展途上国から脱却し、新興経済と称されるMiddle Income Countryへと飛躍しました。更に、多くの諸国は、2000 年代に経済成長を加速させ、後進途上国からMiddle Income Countryへの発展を視野に入れ始めました。アフリカ諸国は、独立以降、長期にわたり経済が停滞しましたが、この20年、高度の経済成長を維持し、目覚ましい変貌を遂げました。
しかし、これらの後進途上国は、幾つかの新たな課題に直面しています。第1に、気候変動への適応。例えば、ケニアでは、温暖化の影響が顕著で、2030年までには、その効果はGDPの2.0%(つまり、毎年GDPが2.0%減少する)まで拡大すると推定されています。第2に、さまざまな面での格差の拡大。特に、国内の多様なグループ間の格差(Horizontal Inequality)の拡大が、多くの国で社会の一体性(Social Cohesion)の減少、政治・社会の不安定化を導いているかと見えます。第3に、大きく変化する世界経済構造への対応。従来の東アジア型の発展戦略は、これらの国にとって、必ずしもモデルとはなり得ないと思われます。
本分野では、これらのアフリカの課題に焦点を当て、研究を進めていきます。