タイトル
薄型パネル表示装置を巡る製品開発競争環境 −特許出願状況が示唆する技術戦略−

要旨

  本稿は、デジタル機器の代表例として薄型パネル表示装置(FPD:Flat Panel Display)を取り上げ、それらの主要性能・技術に関連する特許の出願・権利化状況の経年変化を、製品及び性能レベルでの「イノベーションの活性状況」とみなすことにより、その製品開発競争環境を把握することの有効性について検証を試みるものである。一般的には、ある製品のイノベーションの状況をも左右する「支配的技術」は市場の拡大と成熟の過程を通じて認識されると考えられるが、FPDを含めたデジタル機器は、価格競争と性能競争が並行する中で急速な市場拡大が生じる傾向が強く、支配的技術を事後的に認識するだけでは戦略的な技術マネジメントが行い得ない。従って、製品及び性能レベルでのイノベーションの活性状況を効率的かつ戦略的に把握することが重要であり、このことは、デジタル機器において特許戦略の変化から製品戦略の変化を考える上での有効な示唆を与える。

キーワード:製品イノベーション、コア技術、特許戦略


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