タイトル
販売価格維持と取引慣行の生成過程 ―化粧品製造業者の事例―

要旨

 本稿の目的は、比較取引制度分析にもとづいて、化粧品製造業者を事例対象に取り上げ、取引慣行の生成過程を明らかにし、その経済的根拠を説明し、歴史経路依存性を識別することである。連鎖店制の目的は、再販売価格維持とそれに必要な小売業者間 価格結託形成を促進することであった。特約店制および建値制をとることによって、卸売業者を小売業者の再販売価格維持の履行を監視する役割を委託させた。ブラン ド・マーケティング展開が再販売価格維持行為の実効性を高めた。連鎖店制、特約店制、リベート制、販売会社制、ブランド・マーケティングは、再販売価格維持制度を化粧品製造業者にとって、その実効性を保証する条件となった。


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