タイトル
日本の自動車企業における部品調達のオープン化:92-96年における調達企業数の変化

要旨

 日本企業の部品調達のやり方は、基本的には特定の部品サプライヤーとの間で長期的な関係に基づいた安定したものである。限られた数の系列企業に代表される特定サプライヤーからの調達が主流である。しかし、様々な環境変化により、近年部品調達ネットワークの構造自体を見直す動向が顕著になってきている。つまり、近年のオープン化のトレンドに伴い、系列外の部品企業との取引も開始し、調達企業の範囲を拡大していると言われている。
 本研究の目的は、1992年から1996年の期間における日本の自動車産業の部品調達構造変化を実証的に明らかにすることであった。具体的には、自動車企業が部品を調達する場合の、各部品当りの調達企業数の変化に焦点をあてた。分析結果として、全体としては部品あたりの調達企業数を増加させ、調達構造のオープン化傾向が確かにあることが明らかになった。しかし、さらに部品種類を標準的な部品と特定的な部品に分類して分析するとその動向は異なることがわかった。92年時点で1社または2社から調達していた部品に関しては、標準的部品も特定的部品についても、調達企業数を増加させる傾向があった。しかし、3社以上から調達していた場合には、標準的部品については調達企業数を増加させていたが、特定的部品については逆に減少させていた。つまり、部品の種類によって二極化しているとする示唆が得られた。


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