タイトル
日本の経常収支と金融政策:為替パス・スルー低下の影響について

要旨

本稿の目的は、日本の1980 年から2007 年までの期間のデータを用いて、金融政策に代表される一時的な需要変動要因が経常収支に与える影響を実証的に分析することである。分析の結果、1990 年代半ばに、一時的な変動要因による経常収支への影響が大きく低下したことが明らかとなった。本稿の実証結果は、Betts and Devereux (2000) のLCP(local currency pricing) が普及するほど、金融政策による為替レートを通じての‘支出切替え効果’ は小さくなるという理論研究と整合的であり、近年盛んに議論されている世界的な為替レートのパス・スルー低下が、こうした変化を引き起こしたと考えられる。


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