タイトル

リテール・イノベーション -GMAP Consulting社のケース-

要旨

ICT 技術の発達により、カーナビ・携帯電話などで、地理情報を使ったサービスが積極 的に展開されている。これらのサービスで使われている地理情報システム、GIS(Graphic Information System)とは、地理的位置に関する情報をもった多様なデータを総合的に管理・加工し、視覚的に表示し、高度な分析や迅速な判断を可能にする技術である。この技術の応用範囲は非常に広く、水道・ガス・道路といった公益サービスの効率的運営、地理的な固定資産の実態把握による公正な固定資産税管理、生徒数の分布にもとづく校区の再編成といった国や地方自治体の公共サービスから、本ケースのように、ビジネスでの活用の事例も豊富にある。以下、GIS を活用して、企業の出店計画をサポートする革新的な事例を報告する。本稿は、イギリスの大学で研究されていたGIS と地理学に基づく空間的相互作用モデルを利用することで、激しい小売店競争のなかでいかに新規出店をサポートしていくのかを明らかにする目的で書かれている。小売業にとって、出店戦略は全社的な業績や売上に深く関係する重要な戦略のひとつである。本稿で取り上げるGMAP consulting 社(以下、GMAP)は、小売店の出店地を統計的に算出し、そのうえ、小売競争と消費者の店舗選択の観点から出店後の売上予測や近隣の既存店舗に対する影響などもシミュレーションすることで、出店計画に伴う業績の変化を包括的にコンサルティングしている。

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