タイトル

リテール・ソリューション -ベイシア社と高千穂交易株式会社の共業-

要旨

現代のように競争が飽和した市場では、小売業の最大の課題はモノを売ることだけでは ない。本ケースでは、小売業の中心であるスーパーマーケットの事例を取り上げる。スーパーマーケット業界においては、ローコスト・オペレーションの実現と顧客へのサービス向上の両立が求められ、その競争は厳しい。本ケースでは、ICT 技術を駆使し、顧客満足とローコスト・オペレーションの両立を成し遂げた新しいリテール・ソリューションの事例を取り上げる。現在のスーパーマーケットにおいて、顧客満足度を決める要因の一つにレジ待ち時間がある。スーパーマーケットを訪れる顧客にとって、レジ待ち時間の短縮は、最大の関心事となっている。スーパーマーケットの経営側にとっても、レジの稼働効率、もしくは顧客側の視点に立てば、レジ待ち時間は二重の意味で小売業経営に重要である。一つには、レジ待ち時間が顧客満足と関連し、とくに長い待ち時間は店舗への不満に直結すること。もう一つには、レジ稼働のオペレーションは、店舗全体の運営効率の一部としてコスト面で業績に与える影響が少なくないことである。本ケースで取り上げる、技術商社である高千穂交易株式会社(以下、高千穂交易)と、スーパーマーケットを展開する株式会社ベイシア(以下、ベイシア)の協働による事例は、レジのオペレーションに関連する重要課題を、iQLANE と呼ばれるICT 技術を利用して解消し、その先の顧客満足という高次元の全社的目標を成し遂げた事例である。ソリューション技術の導入が、組織ではたらく従業員のはたらき方や意識を変え、ひいては小売業のサービス・オペレーションのプロセスを総合的に改革していく契機となったことを実証する 一例である。

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