タイトル

地域金融の現場からみた地域密着型金融の現状と課題-金融機関職員アンケート2014の概要-

要旨

筆者は、2014年12月に、全国の金融機関の職員に対してアンケート調査を実施し、400人から回答を得た。回答者の勤務先の業態は、「都市銀行」が29.5%、「地方銀行」が28.8%、「第二地方銀行」が7.0%、「信用金庫・信用組合」が15.0%、「その他」の業態が19.8%であった。我々の質問票では、金融機関の職員の地域密着型金融に対する意識や、企業再生への取り組みの行内での評価のされ方などについて全部で30問の質問を行っている。その結果、たとえば、人事評価においては、「新規貸出先の獲得」と「投資信託やデリバティブ、保険などの販売」が「非常に重要」との回答の多い項目であった。重視度の変化についてみると、「大きく上昇」の回答が最も多かったのは、「投資信託やデリバティブ、保険などの販売」であり、金融機関が手数料収入の増加を熱心に進めていることがわかった。一方で、「既存企業に対する経営支援への取り組み」は、重要度はある程度高まってきているが、「新規貸出先の獲得」や「投資信託やデリバティブ、保険などの販売」に比べて、評価のウエイトは小さいままである。また、ほぼ半分の回答者が「経営に問題を抱えた企業を支えるのは金融機関の使命である。」に共感すると回答している。

本稿は、このアンケート調査の結果について、サンプル全体の計数に加えて、男女別および年齢別に区分した回答状況を報告する。

キーワード

地域密着型金融、地域金融、銀行員、アンケート調査、企業再生


連絡先

神戸大学経済経営研究所
家森 信善
E-mail: yamori@rieb.kobe-u.ac.jp

熊本学園大学経済学部
神戸大学経済経営研究所
米田 耕士