タイトル

金融リテラシーと住宅ローンの比較行動

要旨

住宅金融市場の自由化が進み、多様な住宅ローンが提供されるようになったことを背景にして、2014年6月に金融経済教育推進会議が公表した「金融リテラシー・マップ」は、「ローン・クレジット」に関して、「複数の金融機関、商品を比較し、金利タイプ、金利・諸費用、借入限度、借入条件などが自分のニーズにあったものを適切に選択することができる」ことを金融リテラシーの重要な要素だと定めている。しかし、金融リテラシーが高いと本当に比較行動をとるのかについて、これまで実証的に分析した研究は乏しい。そこで、本稿では、2011年以降に住宅ローンを利用して中古住宅を購入した612人に対するアンケート調査結果(2014年9月実施)を活用して、この課題に取り組んだ。その結果、金融リテラシーが高い人(客観尺度および主観尺度のいずれに関しても)ほど、住宅ローンを利用する際に、より多くの金融機関を比較していることを見いだした。これは、金融リテラシーを高めることが実際に人々の行動を望ましい方向に変化させる証拠だといえる。

連絡先

神戸大学経済経営研究所
家森 信善
E-mail: yamori@rieb.kobe-u.ac.jp

名古屋学院大学経済学部
上山 仁恵