RIEB Discussion Paper Series No.2014-J08

タイトル

カンペールのサービス・イノベーション

要旨

カンペールは、スペインのマヨルカ島インカに本社を置く靴の製造業である。スペインにおける靴ビジネスは世界的にも高シェアな伝統産業となっており、多くは、海外に輸出されてきた。カンペールの靴は世界的に人気が高い。カンペールの靴ビジネスの優位性とはどのようなものなのか。カンペールは、スニーカーというカテゴリ-の、いわゆるカジュアル・シューズの専門メーカーである。そのデザインはユニークであり、他の競業企業とは明確に異なるコンセプトである。さらに靴の販売方法も競合他社とは異なり、製造小売りという直接販売を基本としている。1975年の会社創業以来、カンペールは靴の製造一筋である。現在、当時と変わっているのは、そのビジネス・スタイルであり、伝統的な靴の作り方に基づきながらも、店舗や靴のデザインについては、独自の世界観を織り込む。また、ファミリー企業という利点を活かし、時流に流されること無く、自らが作りたい靴を作るというポリシーを貫いている。多くの企業が進めている、売れ筋、死筋といった販売情報に基づくサプライ・チェーンの構築とは全く異なるビジネス・モデルである。カンペールは自社の世界観をどのようにビジネスに融合させているのか、つまり、デザインとマーケティングという新たな視点より、靴のビジネスを構築したカンペールの競争優位性が本ケースのテーマである。

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