タイトル

地球環境条約の横断的分析研究

梗概

わたしは2009年6月より2012年4月までの2年10ヶ月間、外務省で地球環境条約の中のバーゼル条約、ストックホルム条約、ロッテルダム条約などを担当した。過去には国連貿易開発会議(UNCTAD)や国際商品機関として国際熱帯木材機関などの国際機関を担当した経験があった。過去の経験では先進国と開発途上国は経済格差の問題を巡って対立するいわゆる南北問題の解決が主な課題だった。ところが地球環境条約を担当してみて解ったことは、先進国と開発途上国の対立のみならず先進国間および開発途上国間も立場の違いからの対立が表面化しており、南北問題に比べて対立の構図が複雑になっていることだった。わたしたち実務家はこうした問題に対して体験的に国益を保持する観点から事態に対処していくわけであるが、首尾一貫した論理と戦略をもって対処することが困難な場合がしばしばあるのである。したがって、わたしの頭の中にはこの複雑に入り組んだ対立の構図をどのように整理できるのかといった問題意識が常にあった。  本論文は地球環境条約の複雑に入り組んだ対立の構図を整理する鍵として、条約・議定書が円滑に実施されているか否かに見極める要因として、(1)条約・議定書の成立過程、(2)関連の知識集団の役割、(3)遵守メカニズムおよび資金メカニズムの機能等を選択的に分析することを試みたものである。

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