村上 善道 Yoshimichi MURAKAMI

役職 特命助教
研究部門 グローバル経済
生年月 昭和56年7月
学歴 平成16年 3月  東京大学文学部行動文化学科社会学専修課程卒業
平成16年 4月  東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻修士課程入学
平成19年 3月  東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻修士課程修了
平成19年 4月  東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程進学
平成22年 3月  東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程満期退学
平成22年 4月  神戸大学大学院経済学研究科経済学専攻博士課程後期課程編入学
平成25年 3月  神戸大学大学院経済学研究科経済学専攻博士課程後期課程修了
学位 平成25年 3月  博士(経済学)神戸大学
職歴 平成19年 4月  日本学術振興会 特別研究員(DC1)
平成21年 6月  国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会 国際貿易統合部 インターン
平成25年 4月  神戸大学経済経営研究所 非常勤研究員
平成26年 4月  国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会 ラテンアメリカ・カリブ経済社会計画研究所 アソシエートエキスパート
研究分野 経済統合
研究課題 ラテンアメリカにおける地域経済統合、国際市場参入の質、および生産構造変化と生産性に関する実証研究

研究活動<概要>

これまで、国際経済学、開発経済学の分析手法を用いてラテンアメリカ諸国の経済発展に関する実証研究を行ってきた。とりわけラテンアメリカ諸国が過去約40年にわたって積極的に進めてきたグローバル経済への統合が同地域の所得分配、経済成長、生産構造にどのような影響を与えたのかということに関して同地域固有の事情を踏まえた実証研究を行ってきた。直近3年の具体的な研究テーマと成果としては以下があげられる。

  1. チリにおける貿易自由化と賃金格差に関する研究
    ラテンアメリカ諸国の中でも最も早く経済改革に取り組んできたチリを事例に、貿易自由化がチリにおける技能間賃金格差にどのような影響を与えたのかという点に関する実証研究を行った。チリでも他のラテンアメリカ諸国と同様に、賃金格差は貿易自由化直後から1980年代にかけて拡大し、その後1990年代、2000年代に縮小の時期がみられたことを明らかにした。家計調査データを使った分析の結果、関税引き下げによって貿易自由化前に保護されていた非技能労働財集約部門の相対価格が低下したことによるストルパーサミュエルソン効果によって、特に貿易自由化初期において技能間賃金格差が拡大したことを明らかにした。また2000年以降の技能間賃金格差の縮小に関しては、この時期にチリが積極的に進めてきた特恵貿易協定に伴って生じた産業間賃金格差との間に有意な関連は認められないことを明らかにした。一方で高等教育機関の種類に着目した研究からはこの間に高等教育機関の中での特に大学の収益率が低下していること、特に収益率の下方へのばらつきが大きくなっていることを明らかにし大学間の質の格差の拡大といった要因が関連していることを指摘した。
  2. 地域経済統合に関するラテンアメリカとアジアの比較研究
    中間財貿易を通した域内の生産ネットワークが形成された東アジアと、制度上の地域経済統合の進展に関わらず域内でのサプライチェーンによる統合の進まないラテンアメリカ諸国の特徴を、中間財に関する貿易統計を用いて明らかにし、東アジアの持続的な経済発展を支えてきた国際分業形態を日本がラテンアメリカにおいて構築する可能性を考察した。またラテンアメリカ地域各国の開発計画と地域経済統合の枠組みの関係を分析し、グローバル経済参入に関わる目標の中でも、グローバル・リージョナルバリューチェーン(GVC・RVC)への参入は、それに関わる制度上の地域経済統合の枠組みが存在するかに関係なく、広く現在のラテンアメリカ各国の開発計画に取り入れられていることを明らかにした。今後は、地域経済統合がラテンアメリカ諸国における国際参入の質の改善のために果たす役割として(A)従来の域内市場の拡大を通した輸出財の多角化という経路に加え、(B)GVC・RVCへの参加の促進を通したアップグレーディングによる生産性の向上、の2点を想定し、これらの効果が参加する地域経済統合の枠組み(ラテンアメリカ域内諸国のみか域外先進国やアジアを含むものか)やその深さによって異なっているかを実証研究から明らかにすることを目指す。
  3. 中米におけるサービス貿易に関する研究
    ラテンアメリカ諸国において、サービス貿易は一次産品部門に依存しない形で同地域の付加価値創出と生産構造の多角化に貢献しうる輸出部門としての役割が期待されていることから、中米諸国の中でも特に輸出の多角化に成功したコスタリカを事例とした分析を行った。外国直接投資(FDI)のスピルオーバー効果に着目して、FDIが同国の資本形成、賃金、雇用にポジティブな影響をもたらし、それらを通して、同国のイノベーションの促進と技術的能力の向上に貢献し、GVCの中でのアップグレーディングの促進に寄与した過程を明らかにした。
  4. 南米諸国における対中国輸出の経済成長への影響に関する研究
    2000年以降の資源ブーム期における中国からの資源需要増に支えられたラテンアメリカ諸国と中国の貿易関係の強化は、一次産品輸出増による経済成長を促進する反面で、一層の一次産品依存と中国からの安価な製造業輸入による脱製造業化をもたらす点でラテンアメリカ諸国の経済成長に両義的な影響をもたらすと考えられる。このことから、対中国の輸出増の影響が特に大きかったとされる南米3カ国(ブラジル、チリ、ペルー)を対象に経済成長への影響に関する実証研究を行った。国際収支制約モデルを用いた分析の結果、同時期に対中国への資源輸出が大きく増加するだけでなく、中国からの製造業輸入に対する所得弾力性も高くなっていることが、対中国輸出の経済成長への影響を相対的に低い水準に留めており、資源ブーム期であっても輸出成長率は国際収支を均衡させるに十分な水準でなかったことを明らかにした。

<研究業績>

研究業績

【分担執筆】
Title   Date
「貧困層を利する成長」(久松佳彰と共著) ラテン・アメリカ政経学会編『ラテン・アメリカ社会科学ハンドブック』新評論、86-94ページ 2014年11月

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【学術論文】
Title   Date
"The Impacts of China on Economic Growth: Evidence for Brazil, Chile and Peru" Journal of Post Keynesian Economics, (co-authored with René A.Hernández)【査読有】 forthcoming
「地域経済統合とラテンアメリカの構造問題」 『経済経営研究(年報)』第66号、神戸大学経済経営研究所 近刊
「新構造主義とは何か」 (浜口伸明と共著)ディスカッションペーパーシリーズ、DP2016-J08、神戸大学経済経営研究所 2016年11月
"Revealing the Spillover Effects of Foreign Direct Investment on Offshore Services: Evidence for Costa Rica" in Renéé Hernández, Alfredo Hualde, Nanno Mulder and Pierre Sauvé (eds.),Innovation and internationalization of Latin American services, The United Nations Economic Commission for Latin America and the Caribbean (ECLAC), Santiago, Chile, pp.195-222 (co-authored with René A.Hernández) July 2016
"Determinants of Wage Equalization in Chile from 1996 to 2006: Decomposition Approach" RIEB Discussion Paper Series, DP2016-24, Research Institute for Economics and Business Administration, Kobe University July 2016
"Trade Liberalization and Skill Premium in Chile" Revista México y la Cuenca del Pacífico , No. 6, January-April, 2014, pp 77-101. 【査読有】 January-April, 2014
"Achievements and Problems of Economic Liberalization in Chile" 『経済経営研究(年報)』第63号、神戸大学経済経営研究所、 57-81ページ 2014年3月
"Strategy for Trans-Pacific Integration from Japanese Perspective" in Bartesaghi, I. ed. Trade relations between Latin America and Asia Pacific: Challenges and Opportunities , Montevideo, Observatorio America Latina-Asia Pacifico, pp.163-177 (co-authored with Nobuaki Hamaguchi). 【査読有】 February 2014
"Trade Liberalization and Skill Premium in Chile" RIEB Discussion Paper Series, DP2013-19, Research Institute for Economics and Business Administration, Kobe University June 2013
"Trade Policy and Wage Inequality in Chile since the 1990s" Project Document (LC/W.518), International Trade and Integration Division, The United Nations Economic Commission for Latin America and the Caribbean (ECLAC), Santiago, Chile. April, 2013
"Empirical Analysis on Economic Liberalization in Chile" 神戸大学大学院経済学研究科博士論文 2013年3月
「チリにおける教育の収益率:学位の効果に着目して」 (野村友和と共著)『国民経済雑誌』206号 3巻、97-115ページ 2012年9月
「チリの非伝統的一次産品輸出部門の産業連関効果分析」 『ラテン・アメリカ論集』第44号、37-53ページ。【査読有】 2010年11月

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【研究ノート】
Title   Date
「チリにおける賃金不平等-開発戦略の変遷期における賃金不平等要因の分析 1970-2003-」 『ラテン・アメリカ論集』第42号、39-59ページ。【査読有】 2009年2月

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学会報告活動

【国際セミナー報告】
Category Title Place Date
発表 "Peripherality, Inequality and Economic Development in Latin American countries," Economy and Politics of Latin America in the Second Half of the 2010s: Actual Situation and Perspectives for the Future Kyoto University January 8, 2017
討論者 "Understanding Non-Tariff Barriers for Trade Facilitation between Korea and Latin America" (Jae-Sung, Kwak)
Kobe Seminar of East Asian Network of Latin American Studies (EANLAS) (神戸大学経済経営研究所ラテンアメリカ政治経済研究部会/神戸大学経済経営研究所ラテンアメリカセミナー/神戸大学社会システムイノベーションセンター/京都大学地域研究統合情報センターハブ形成事業プロジェクト/科研基盤研究 (B)「ラテンアメリカ発展停滞のパズル」/ラテン・アメリカ政経学会(JSLA) 共催)
Kobe University January 7, 2017
発表 "The Impacts of China on Economic Growth: Evidence for Brazil, Chile and Peru," China-Japan-Korea Seminar: East Asia-Latin America Relations & Latin American Studies in East Asia Peking University, China July 3, 2016
発表 "Los efectos de China sobre el crecimiento económico: Evidencia para Brasil, Chile y Perú," Trayectoria del desarrollo socioeconómico de Japón y Asia Pacífico Universidad Nacional Autónoma de México (UNAM), Mexico February 5, 2016
発表 "The Impacts of China on Economic Growth: Evidence for Brazil, Chile and Peru," (René A.Hernándezと共同報告)First International Seminar "China and Latin America: Multidisciplinary Approach about the Complex Relation" The United Nations Economic Commission for Latin America and the Caribbean (ECLAC), Santiago, Chile November 5, 2015
発表 "Strategy for Trans-Pacific Integration: from Japanese Perspective," Trade Relations between Latin America and Asia Pacific: Challenges and Opportunities ECLAC, Chile August 21 2013
【国内学会報告】
Category Title Place Date
発表 「新構造主義とは何か」ラテン・アメリカ政経学会第53回全国大会(浜口伸明と共同報告) 東京大学 2016年11月6日
司会 RIEBセミナー「地域大国としてのBRICs」(科研基盤研究(A)「ユーラシア地域大国(ロシア、中国、インド)の発展モデルの比較」/神戸大学社会システムイノベーションセンター主催、神戸大学経済経営研究所/北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター/科研基盤研究(B)「ラテンアメリカ発展停滞のパズル」/科研基盤研究(B)「インドの産業発展と日系企業」共催) 神戸大学 2016年10月16日
発表 「ラテンアメリカにおける格差・周辺性と経済成長」、RIEBセミナー「地域大国としてのBRICs」(科研基盤研究(A)「ユーラシア地域大国(ロシア、中国、インド)の発展モデルの比較」/神戸大学社会システムイノベーションセンター主催、神戸大学経済経営研究所/北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター/科研基盤研究(B)「ラテンアメリカ発展停滞のパズル」/科研基盤研究(B)「インドの産業発展と日系企業」共催)(浜口伸明と共同報告) 神戸大学 2016年10月15日
発表 「ラテンアメリカにおける格差・周辺性と経済成長」、神戸大学経済経営研究所ラテンアメリカ政治経済研究部会(科研基盤研究B「ラテンアメリカ発展停滞のパズル」研究会共催)(浜口伸明と共同報告) 神戸大学 2016年9月16日
発表 「地域経済統合とラテンアメリカの構造問題」 神戸大学経済経営研究所ラテンアメリカ政治経済研究部会(科研基盤研究B「ラテンアメリカ発展停滞パズル」研究会共催) 神戸大学 2016年5月28日
発表 "Regional Integration and Development Planning in Latin American and Caribbean Countries," ラテン・アメリカ政経学会関西部会(日本ラテンアメリカ学会西日本部会共催) 京都外国語大学 2016年4月12日
発表 「ラテンアメリカにおける国際参入と成長・分配および生産性に関する研究」RIEBセミナー 神戸大学 2016年1月27日
発表 「2000年以降の中国ファクターとラテンアメリカの経済成長」 神戸大学経済経営研究所ラテンアメリカ政治経済研究部会(ラテンアメリカセミナー共催) 神戸大学 2014年11月18日
発表 "Unveiling the Spillover Effects of Foreign Direct Investment on Offshore Services: Evidence for Costa Rica" ラテン・アメリカ政経学会第51回全国大会 神戸大学 2014年11月15日
発表 "Changes in Wage Premiums in Chile, 1996-2006: Quantile Regressions and the Decomposition Approach"(野村友和と共同報告) RIEBセミナー(関西開発ミクロ経済学研究会KDME共催) 神戸大学 2013年12月13日
発表 "Strategy for Trans-Pacific Integration: from Japanese Perspective"(浜口伸明と共同報告)ラテン・アメリカ政経学会第50回全国大会 アジア経済研究所 2013年11月17日
発表 "Changes in Wage Premiums in Chile, 1996-2006"(野村友和と共同報告) ラテンアメリカ政治経済研究部会・西島章次先生メモリアル研究会(ラテン・アメリカ政経学会関西部会共催) 神戸大学 2013年7月28日
司会 ラテンアメリカ政治経済研究部会・西島章次先生メモリアル研究会(ラテン・アメリカ政経学会関西部会共催) 神戸大学 2013年7月28日
発表 "Achievements and Problems of the Economic Liberalization in Chile: Literature Review and Policy Implications"  ラテン・アメリカ政経学会第49回全国大会 東洋大学 2012年11月11日
発表 "Inter-Industrial Linkage Effects of Non-Traditional Natural Resource-Based Export Sectors in Chile" 六甲フォーラム 神戸大学 2012年10月26日
発表 "Wage Inequality and the Evolution of Return to Education in Chile, 1974-2007" 六甲フォーラム 神戸大学 2012年8月9日
発表 「チリにおける貿易自由化と技能間賃金格差」日本国際経済学会第2回春季大会 南山大学 2012年5月26日
発表 "Trade Liberalization and Skill Premium in Chile" 六甲フォーラム 神戸大学 2012年4月10日
発表 "Trade Liberalization and Skill Premium in Chile" 関西・開発ミクロ経済学研究会 神戸大学 2012年 4月 5日
発表 「チリにおける貿易自由化と技能間賃金格差」 ラテン・アメリカ政経学会西日本部会 神戸大学 2012年3月3日
発表 「チリのコンセルタシオン政権の経済政策形成におけるCEPALの役割」 ラテン・アメリカ政経学会第48回全国大会 京都外国語大学 2011年11月13日
発表 "Trade Policy and Wage Inequality in Chile since the 1990s" 六甲フォーラム 神戸大学 2011年10月6日
発表 「チリにおける1990年以降の貿易自由化政策と賃金格差」 日本国際経済学会第1回春季大会 龍谷大学 2011年6月11日
発表 「チリにおける1990年以降の貿易自由化政策と産業賃金プレミアム」 日本ラテンアメリカ学会西日本部会 神戸大学 2011年4月16日
発表 「チリにおける1990 年以降の貿易自由化政策が賃金格差に与えた影響」 ラテン・アメリカ政経学会第45回全国大会 慶應大学 2010年11月14日
発表 「チリの非伝統農業輸出が生産構造に与える影響-"Staple"か"enclave"か?-」 ラテン・アメリカ政経学会第45回全国大会 上智大学 2008年12月7日
発表 「チリにおける賃金格差の決定要因-quantile regressionによる分析-」 国際開発学会第19回全国大会 広島修道大学 2008年11月22日
発表 「チリにおける社会経済構造の変化と賃金格差の要因 1970-2003」 ラテン・アメリカ政経学会第44回全国大会 南山大学 2007年10月28日
発表 「チリ・コンセルタシオン政権期の開発戦略と所得分配に関する実証分析」 神戸大学経済経営研究所ラテンアメリカ政治経済研究部会(ラテンアメリカセミナー共催) 神戸大学 2007年7月12日

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社会活動

所属学会
ラテン・アメリカ政経学会
日本ラテンアメリカ学会
日本国際経済学会

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受賞歴

  • 2014年6月27日 第1 回ラテン・アメリカ政経学会研究奨励賞(ラテン・アメリカ政経学会)

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