神谷 和也 Kazuya KAMIYA

役職 教授
研究部門 グローバル金融
生年月 昭和32年7月
学歴 昭和56年 3 月  京都大学経済学部経済学科卒業
昭和56年 4月  大阪大学大学院経済学研究科前期課程入学
昭和58年 3月  同上修了
昭和58年 4月  大阪大学大学院経済学研究科後期課程入学
昭和58年 9月  イェール大学大学院経済学部博士課程入学
昭和61年12月  同上 修了(Ph.D イェール大学)
昭和62年 7月  大阪大学大学院経済学研究科後期課程退学
学位 昭和58年 3月  修士(経済学) 大阪大学
昭和61年12月  Ph.D. in Economics, イェール大学
職歴 昭和61年10月  ベルギーカソリック大学 CORE 研究員
昭和62年10月  大阪大学経済学部助教授
平成 4年 4月  同 社会経済研究所助教授
平成 7年 4月  東京大学経済学部助教授
平成 8年 4月  同 大学院経済学研究科助教授
平成11年 1月  同 教授
平成27年 5月  同 副学長
平成28年 4月  神戸大学経済経営研究所教授
研究分野 ミクロ政策分析
研究課題 貨幣サーチ理論、契約理論

研究活動<概要>

私は、一般均衡理論、数理計画法、貨幣理論を中心に研究を行ってきた。以下、私のこれまでの主要な研究について簡単に解説します。また、最近行っている実験及び契約理論の研究についても簡単に触れておく。

  1. これまでの研究

    1.一般均衡理論

    (i) 収穫逓増技術企業(非凸の生産可能性集合)を含む一般均衡モデル
     技術が収穫逓増(より一般的には非凸の生産可能性集合)の場合には、競争均衡が存在するとは限らない。また、この場合には、政府による価格規制(限界費用価格や平均費用価格による規制)が必要になると考えられてきた。

     均衡の存在問題
    まず、政府による価格規制が行われる場合の均衡の存在問題については、特殊な一般均衡モデルにおいてのみ議論されていた。私は、Arrow-Debreuモデルと同程度の一般性を持つモデルで、技術の凸性を仮定せずに、政府による価格規制下の均衡の存在を証明した。これは、政府の価格規制方法が弱い仮定を満たせば均衡が存在するというのもので、平均費用価格、マークアップ・プライシング、ある種の限界費用価格による規制はすべてこの仮定を満たす。すなわち、極めて一般的なモデルで、価格規制下の均衡存在を示した。
     限界費用価格規制の場合には、上の仮定を満たさない場合がある。この場合、均衡の存在を証明するためには達成可能集合の位相幾何的な性質を議論する必要がある。私は、この性質と一般均衡モデルで頻繁に使われるSurvival Assumptionとの関係を明らかにした。

     最適価格規制
     公共経済学の教科書では、収穫逓増の場合には限界費用価格による規制により最適配分が達成されると書かれていることがある。しかし、収穫逓増(非凸技術)の場合には、限界費用価格はパレート効率性のための一階条件であり、二階条件が満たされるとは限らない。私は、政府がある種の非線形価格による規制を行えばパレート効率的な配分が達成されることを示した。

    (ii) 価格調整プロセス
     タトヌマンによる価格調整プロセスが安定になるためには、粗代替性等の強い仮定を置く必要がある。私は、ワルラス法則等の通常の仮定のみで、必ず均衡に収束する微分方程式を初めて発見した。(正確には、初期値として定義域のほとんどすべての点を取ることができ、初期値にできない点の集合は測度ゼロ。)これは、タトヌマンとグローバル・ニュートン法を融合したもので、数学的にも興味深い性質を持つ。

    2.数理計画法
     数理計画法における私の業績は、主に不動点およびそれを一般化した非線形方程式系の解の計算方法に関するものである。

     Globally and Universally Convergent Process
     解が複数存在する非線形方程式系の場合、いかなる初期値からでも解に収束するプロセスを構築するのは不可能である。したがって、測度ゼロの集合を除く初期値から必ず解に収束するプロセスの構築を目指すことになる。このような微分方程式を私が初めて発見した。Herings等は、この種のプロセスをGlobally and Universally Convergent Processと呼び、後の研究につながっている。

     分解法
     私は、単独および Talman教授と共同で、非線形方程式がある種の構造を持つ場合に、非線形方程式を分解と統合を繰り返しながら解く方法が効率的であることを示した。これは、線形計画法における分解法と類似する部分もあり、この分野では興味深い業績である。

    3.貨幣理論
     貨幣保有の取引動機としては、かつてはCash-in-Advance制約をad hocに入れて分析を行うことが多かった。Kiyotaki and Wright (1989)は、シンプルなサーチ理論(貨幣は分割不可能で1単位しか持てない)を用いて取引動機の明確なfoundationを構築した。私の研究は、この種のモデルにおける均衡の非決定性、最適な税-補助金政策、均衡の存在証明に関するものである。

     均衡の非決定性
     Green and Zhou (1998)は、分割可能な貨幣を含む特殊なサーチモデルを分析し、連続無限個の定常均衡の存在(非決定性)を示した。しかし、これがモデルの特殊性によるものか、あるいはサーチモデルの一般的な性質かは明らかではなかった。私と清水崇教授は、ほとんどすべてのサーチモデルを含む一般的なフレームワークを提示し、定常均衡が非決定になることを示した。したがって、サーチモデルで取引動機のfoundationを与える限りにおいて均衡は非決定になり、政策の分析などは難しくなる。

     最適政策
     上記のようにサーチモデルにおいては、定常均衡は連続無限個あり(つまり非決定)、政策分析は難しくなる。私と清水崇教授は税-補助金政策を導入することにより均衡を決定化し、同時に効率的な均衡を実現する方法を示した。これにより、取引動機のfoundationがあるモデルで政策分析が可能になった。(他の方法については、Lagos and Wright (2005)が提示している。)

     均衡の存在証明
     貨幣を含むサーチモデルは、均衡集合が特殊な性質を持つ、私と清水崇教授は、この性質を利用して均衡の存在を比較的簡単に証明する方法を発見した。
  2. 最近の研究

    1.貨幣経済に関する実験
     上述のように、貨幣経済の定常均衡は非決定である。しかし、現実にはフォーカル・ポイント等の均衡を決定化するメカニズムが存在するかもしれない。これについて、実験を使って分析を行っている。

    2.契約理論
     契約理論においては、短期契約と長期契約しか分析されてこなかった。しかし、現実には、中間の期間の契約や期間の異なる契約の組み合わせなどが観察される。これについて不完備契約を使って分析している。

<研究業績>

研究業績

【著書】
Title Publishing Date
『公共経済学』 本間正明(監修)、神谷和也、山田雅俊(編著) 東洋経済新報社 2005年
『現代経済学の潮流』 神谷和也、岡田、黒田、伴 共編 東洋経済新報社 2000年
『現代経済学の潮流』 神谷和也、岡田、柴田、伴 共編 (東洋経済新報社)  1999年
『現代経済学の潮流』 神谷和也、大槻、小川、西村 共編 (東洋経済新報社)  1998年
『経済学のための数学』 神谷和也、浦井憲 著 東京大学出版会  1996年

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【論文】
Title   Date
"Real Indeterminacy of Stationary Monetary Equilibria in Centralized Economies" (co-authored with Kayuna Nakajima and So Kubota), Japanese Economic Review forthcoming
「5大学経済学研究科及び附置研究所の研究業績比較調査(2014年)」 (二木孝一、芹澤成弘、柴田章久と共著)『経済セミナー』2015年6・7月号,71-77頁 2015年6月
"Dynamic Auction Markets with Fiat Money" (co-authored with Takashi Shimizu), Journal of Money, Credit and Banking 45, pp. 349-378 2013
"Stationary Monetary Equilibria with Strictly Increasing Value Functions and Non-Discrete Money Holdings Distributions: An Indeterminacy Result" (co-authored with Takashi Shimizu), Journal of Economic Theory 146, pp.2140-2150 2011
"Matching Models with a Conservation Law: The Existence and Global Structure of the Set of Stationary Equilibria" (co-authored with Dolf Talman), Journal of Mathematical Economics 45, pp. 397-413 2009
"Existence of Equilibria in Matching Models of Money: A New Technique" (co-authored with Takashi Shimizu), Economic Theory 32,pp447-460 2007
"On the Role of Tax-Subsidy Scheme in Money Search Models" (co-authored with Takashi Shimizu), International Economic Review 48, pp. 575-606 2007
"Real Indeterminacy of Stationary Equilibria in Matching Models with Divisible Money" (co-authored with Takashi Shimizu), Journal of Mathematical Economics 42, pp. 594-617 2006
"On the Existence of Single-Price Equilibria in a Matching Model with Divisible Money and Production Cost" (co-authored with Noritsugu Morishita and Takashi Shimizu), International Journal of Economic Theory 1, pp. 219-231 2005
"Solving the Linear Stationary Point Problem on Polytopes" (co-authored with Dolf Talman), Osaka Economic Papers 54, pp. 137-149 2005
"Equilibrium Price Dispersion in a Matching Model with Divisible Money" (co-authored with Takashi Sato), International Economic Review 45, pp. 413-30 2004
"Applying Exterior Differential Calculus to Economics: a Presentation and Some New Results --- A Comment" Japan and the World Economy 16, pp. 387-389 2004
"Nonlinear Pricing in General Equilibrium Models with Joint Production" Japanese Economic Review 52 2001
"The Existence of Price Setting Equilibria" The Journal of Economics 63, Tokyo University 1998
"A Revealed Preference Theory for Nonexpected Utility on 'Certain×Uncertain' Consumption Pairs," (co-authored with Hidehiko Ichimura), Japanese Economic Review 49 1998
"Optimal Public Utility Pricing: A General Equilibrium Analysis," Journal of Economic Theory 66 1995
"A Price Adjustment Process for an Economy with Increasing Returns," The Economic Studies Quarterly 43 1992
"Simplicial Algorithm for Computing a Core Element in a Balanced Game," (co-authored with Dolf Talman), Journal of the Operations Research Society of Japan 34 1991
"Simplicial Algorithm to Find Zero Points of a Function with Special Structure on a Simplotope," (co-authored with Dolf Talman), Mathematics of Operations Research 16 1991
"Efficient Algorithms for Solving Systems of Nonlinear Equations with a Block Diagonal Structure," Mathematics of Operations Research 16 1991
"Computation of Equilibria in an Economy with Increasing Returns to Scale Technologies" Mathematical Programming 49 1991
"A Globally Stable Price Adjustment Process," Econometrica 58 1990
"On the Survival Assumption in Marginal (Cost) Pricing," Journal of Mathematical Economics, 17 1988
"Existence and Uniqueness of Equilibria with Increasing Returns," Journal of Mathematical Economics 17 1988
"On the Existence and Uniqueness of General Equilibrium Prices," International Economic Review 25 1984
「租税の帰着分析:一般的ケース」 (岡村誠と共著)『大阪大学経済学』33巻1,2号 1983年9月

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【その他の論文】
Title   Date
「経済均衡の逐次解法」 広中他編『現代数理科学事典 第2版』丸善 2009年
「市場経済と政府:厚生経済学と公共経済学の課題」 本間(監修)、神谷、山田(編著)『公共経済学』 東洋経済新報社 2005年
「収穫逓増と非線形価格による規制」 岡田・伴・福田・井堀編『現代経済学の潮流2001』 東洋経済新報社 2001年
「動学的最適化行動のノンパラメトリック制約」 大槻・小川・神谷・西村編『現代経済学の潮流1998』 東洋経済新報社 1998年
「非凸技術と一般均衡理論」 『数理解析研究所講義録;829』 京都大学数理解析研究所 1993年
「Global Newton法と価格調整プロセス」 『数理解析研究所講義録;789』 京都大学数理解析研究所 1992年
「グローバルニュートン法」 『数理情報科学辞典』 朝倉書店 1995年
「収穫逓増技術下の経済理論」 『数理情報科学辞典』 朝倉書店 1995年

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【未掲載論文】
Title   Date
「9大学経済学研究科・附置研究所の研究生産性比較調査(2016年)」 (二神孝一、芹澤成弘、柴田章久と共著)ISER Discussion Paper No.998 2017年4月
"Equilibrium Selection in Monetary Search Models: An Experimental Approach" (with Hajime Kobayashi, Tatsuhiro Shichijo, Takashi Shimizu) Discussion Paper Series, No.DP2017-03, RIEB Kobe University 2017年3月
「5大学経済学研究科及び附置研究所の研究業績比較調査(2015年)」 (二神孝一、芹澤成弘、柴田章久と共著)ISER Discussion Paper No.974 2016年6月

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社会活動

所属学会
日本経済学会
数理経済学会
Econometric Society
役職
日本経済学会・監事
数理経済学会・会長、2015年度より
日本経済学会・常任理事待遇(機関誌担当)、2007年―2011年
Co-Editor, Japanese Economic Review, 2007-2009
Guest Editor, Journal of Mathematical Economics, 2006
Editor, Advances in Mathematical Economics, 発足時より

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研究助成金

【科学研究費・研究代表者】
2016年―2020年 貨幣のサーチ・モデルにおける価格の決定要因:理論と実験、基盤研究(C)
2016年―2018年 新しい貨幣モデルの構築、挑戦的萌芽研究
2007年―2010年 貨幣的均衡の研究、基盤研究(C)
2003年―2006年 マッチングモデルによる貨幣的均衡の研究、基盤研究(C)
1995年-1997年 動学的最適化仮説のノンパラメトリック検定、萌芽・基盤研究(C)
【科学研究費・研究分担者】
2010年―2013年 日本の経済学研究における生産性比較、挑戦的萌芽研究。研究代表者・芹澤成弘
2008年―2011年 資源配分メカニズムの分析と設計:理論と実験、基盤研究(B)、研究代表者・大和毅彦、下村研一
2006年―2008年 取引市場のメカニズム分析:理論、実験、歴史、基盤研究(B)、研究代表者・松島斉
2002年-2004年 社会ゲームの理論と応用:帰納ゲーム、均衡選択、貨幣経済、基盤研究(B)、研究代表者・松井彰彦
2000年―2005年 経済制度の実証分析と設計、特定領域研究(B)、研究代表者・藤原正寛
1999年―2000年 金融リスクの計量分析、基盤研究(B)、研究代表者・国友直人

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教育活動

年度 講義・演習 大学院・学部
2016年度 ミクロ経済学Ⅱ 神戸大学大学院経済学研究科・経済学部

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受賞歴

  • 日本経済学会・中原賞 2000年9月

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